2009年 05月 04日
1 ヶ 月 前 と な り ま し た 。
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ようやくリリースまであと1ヶ月となりました。レコーディングは2月でしたのでまだ1ヶ月もあるのかというのが正直な心境でございます。
CDというものが徐々になくなりつつあり、音楽は配信というシステムへとスイッチしておりますが、そんな時代の流れなど無視しつつ、少々意識しつつ、頑張ってリリースして皆様の心をキャッチしていこうと、キャッチアンドリリースよろしく、リリースアンドキャッチといったところでしょうか。
予算とエコロジーの兼ね合いで豪華ブックレットという訳にはいきませんので、せめてものお楽しみということでライナーノーツを自身の手で、正確には自身のパソコンを使って書き上げました、正確にはタイプいたしましたので是非是非読んでいただければと思います。
無駄な森林伐採を避けるためライナーノーツのスペースもさほど広くは取れませんのでどうしても字が細かくなってしまうのは否めません。その為当ブログで公開いたしますので、事前にお読み下さると読みやすい上に作品のイメージも倍増することと思います。
イメージだけではちょっとという方には「My Space」というウェブ上のコミュニティーにアクセスしていただければ新作が4曲程丸々視聴可能となっておりますので是非是非お楽しみ下さい。
iTunesでの配信も発売1週間前からの配信を予定しております。
全部で12曲入りの中の4曲がもう既に聴けてしまう、ライナーもジャケットも見れてしまうということで、もう作品の3分の1程はご理解いただけるのではないでしょうか。
これで満足なさらずに是非是非CDショップに足を運んで実物を手にとってお金と引き換えていただけると、作品に携わった全ての方々がハッピーにまたご購入いただいた方もハッピーになるという算段になっておりますのでご協力の程よろしくお願いいたします。
5月10日にはピットインお昼の部での発売寸前ライブや、発売後も、このバンドを結成してから長らく定期的にライブをやらせていただいているジャズクラブ(小岩COCHIと関内KAMOME)でのライブや、CDショップでのインストアイベント、9月になりまして各地ツアー(福島、青森、岩手、大阪、名古屋、静岡を予定しております)もございますので併せてお楽しみいただければ幸いです。
「My Space」http://www.myspace.com/ruike
ライナーノーツ
もしも地球と同じような惑星があり、大気も水も、同じような文化や生活もあり、音楽もスポーツもあったとして。
その星には、ポップミュージックがあり、ファンクやロックやパンクのようなものもあり、オペラやクラシックのようなものもしっかり存在し、ワールドミュージックもあり。
ヒップホップやR&Bに至っては今の地球よりも遥かに進んでいたりして、しかしジャズと呼ばれるジャンルだけが何故か存在しない。
その星にジャズが無いのは、既にジャズがヒップホップと呼ばれていたり、若しくはワールドミュージックにカテゴライズされていたり、他のジャンルに吸収されそのジャンルを失ってしまったか、或いはジャズが無いその星の生き物達が、地球人よりも遥かにデリケートな構造で、ジャズという音楽が脳内麻薬の分泌を促進させ多大な快楽を与え過ぎるという事から排除、禁止され、音楽シーンから消えてしまったか、又はその反対で、ジャズが精神病への医療行為として認識され、ジャズミュージシャンはセラピストとなりジャズ自体が音楽としての認識を失なってしまったか。
ジャズが最初から全く存在しないという状況も考えられるが、様々なポップミュージックがジャズから発展していった事実を考えればそのような出来事が起こらない事など想像に難くない。しかし地球ではたまたまジャズが先行して現れただけであり、何処かの地域の土着的な音楽が突然変異してドミナントとサブドミナントを手に入れロックンロールやファンクミュージックが誕生するという展開があっても現実味は無くは無い。
如何なる理由にしろ、もしもジャズが無かったら、音楽と風俗が共に成熟していくという時代のクリシェからして、格好良くスーツを着こなしステージに上がるミュージシャンも、難しい顔をしてプレイするミュージシャンも、薬や酒に溺れるミュージシャンも確実に少なかったに違いないし、映画やテレビ番組の音楽はクラシックやヒップホップ、R&Bやファンクミュージックが大半を占めることになるだろう。
もし自分が、ジャズの無い星に産まれて育ったとしたならば、ロックやパンクミュージックをやるような度胸もなっかたろうし、ヒップホップもファッションからして挫折しそうだし、クラシックに至っては、演奏技術と対人関係で挫折するに違いない。いったいどんなことをやっていたか想像しにくいが、ジャズ以外の何かで、細胞が沸騰し、何もかも投げ出せるような何かに出会っていることを心から願うしかない。
例えジャズと呼ばれる音楽が無かったとしても、モダンアートのような、フリーインプロビゼーションのような、心地良いノイズのような、見たことの無い風景のような、どこかで味わった臭いのような、気持ちの奥底に積み重なっていくような、音色の中に沢山のあらゆる情報が含まれているような、聴こえているような聴こえていないような、聴いた人の細胞をぐにゃぐにゃに変化させるような、歪んでいる美しさや、心地よい不安を兼ね備えた、プロパガンダやコマーシャルとは全く無縁な、音楽という形を借りた何かをやれていたのならば、きっと幸せなのだろうと思う。
音は最高に素晴らしく最高に不思議な媒体であり、そこにどれだけの情報を詰め込めるかは総合的な才能である。
もしジャズが無かったとしても、そういうことが大切にされる音楽があればいい。
きっとそういう音が在りさえすれば、その音に熱中して生きて行ける筈である。
音は発せられた瞬間から、消えていく運命にある。
時間が戻らない限り、その瞬間が蘇ることはない。
しかし決して消費されていく訳ではなくいろんな情報として身体や心に張り付いていく。
そして張り付いた記憶に、着色や美化や喪失という効果をかけて作品の印象を創り上げ、時々それに依存して生きていく。
現在の積み重ねが過去になっていくように、今聴いている音の積み重ねが、その曲、その作品、そのミュージシャンの存在そのものになっていく。
このCDに収められている音が果たしてどのような音として届くのかは分からない。
CDを再生した瞬間から、忘れかけていた、或いは未だに見た事も無い景色が頭の中で再生され、曲の展開と共にそれぞれのストーリーが進行し、更には聴いた側からどんどん忘れていき、心地よい疲労感と消費されない何かだけが残ったのならば、この上ない幸せである。
極僅かな大切なものと沢山のどうでもよいものに囲まれているこの世界で、この音を愛していただける極僅かな方々の、極僅かな大切な物の中に、どうかこの音楽を入れていただけますように。
自然界に直線が存在せず、数多くの美しいものが歪みを帯びているように、数多くある歪んでいて美しい物の中の一つにどうかこの音も加えていただけますように。
そして、未だ見ぬジャズが無い、或いはジャズを失った星で、どうかこの音楽がチャートインしますように。
「DISTORTED GRACE」
1. AGUA(introduction) アグア(イントロ)
2. Chaotic Territory II 混沌の範囲II
3. A world without venom creates its own poison 毒のない世界には新しい毒が産まれる
4. SKID スキッド
5. Comfortable Anxiety 心地よい不安
6. KAMUI カムイ
7. ADDICTION アディクション
8. Chaotic Territory III 混沌の範囲III
9. Role Lettering 交換書簡
10. Scene シーン
11. Seesaw シーソー
12. AGUA(outroduction) アグア(アウトロ)
SHINPEI RUIKE FOUR PIESE BAND
SHINPEI RUIKE (trumpet,compose)
HAKUEI KIM (piano, electric piano)
KOJI TETSUI (bass)
DAISUKE YOSHIOKA (drums)
Produced by Shinpei Ruike
「My Space」 http://www.myspace.com/ruike
by rui-shim
| 2009-05-04 04:21
| ■ Diary
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Comments(8)
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by
Kotaki
at 2009-05-04 09:07
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いよいよでございますね!
昨日、横浜のタワレコで新譜掲示板(?)に貼ってあり
”おっ”と小声で叫んでしまいました....
都会の夜を背に奏でてるのか、超新星誕生の瞬間に宇宙に
響き渡る(空気無いけど)瞬間なのか、とても格好いい
ジャケットですね。
昨日、横浜のタワレコで新譜掲示板(?)に貼ってあり
”おっ”と小声で叫んでしまいました....
都会の夜を背に奏でてるのか、超新星誕生の瞬間に宇宙に
響き渡る(空気無いけど)瞬間なのか、とても格好いい
ジャケットですね。
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at 2009-05-04 12:29
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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by
なる
at 2009-05-04 18:08
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さっそくのライナーノーツ、ありがとうございます。
早く聞きたいような、このまま焦らされたいような…少し変かもしれませんが、発売まで待ってる時間も好きなんです。
早く聞きたいような、このまま焦らされたいような…少し変かもしれませんが、発売まで待ってる時間も好きなんです。
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ぱやし
at 2009-05-04 21:40
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おめでとうございます。
絶対買いますよ!
絶対買いますよ!
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by
かさね
at 2009-05-06 06:13
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芸術的なライナーノーツですね!この文章自体が作品みたいだなぁと思いました。
ところでつい先日スターフライヤーズに乗ったら、類家さんのCDが特集されているのを発見!早速拝聴いたしました。たまたまですが滑走路に入った途端に曲調が激しくなり、耳からの刺激でますます気分が盛り上がったひとときでした♪
全曲聴ける日が楽しみです。
ところでつい先日スターフライヤーズに乗ったら、類家さんのCDが特集されているのを発見!早速拝聴いたしました。たまたまですが滑走路に入った途端に曲調が激しくなり、耳からの刺激でますます気分が盛り上がったひとときでした♪
全曲聴ける日が楽しみです。
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at 2009-05-06 23:58
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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by
ruike
at 2009-05-11 16:10
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>Kotakiさん
コメントありがとうございます。
確かに空気がないと音響きませんが、いろんな所に響くようにがんばりまます。
>なるさん
コメントありがとうございます。
待っている時が一番楽しいのかもしれません。。。
>ぱやしさん
コメントありがとうございます。
絶対発売します。
>かさねさん
コメントありがとうございます。
スターフライヤーズ機内での御試聴ありがとうございます。
飛行機の調子が崩れずなによりです。
福岡に行く機会がないのが残念です・・・。
コメントありがとうございます。
確かに空気がないと音響きませんが、いろんな所に響くようにがんばりまます。
>なるさん
コメントありがとうございます。
待っている時が一番楽しいのかもしれません。。。
>ぱやしさん
コメントありがとうございます。
絶対発売します。
>かさねさん
コメントありがとうございます。
スターフライヤーズ機内での御試聴ありがとうございます。
飛行機の調子が崩れずなによりです。
福岡に行く機会がないのが残念です・・・。
Commented
at 2009-05-25 00:57
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。